ゴールドリボンウオーキングは、小児がんという疾患が、どのような病気であり、現在の小児がんの患者さんを取り巻く環境やそれらの課題などを広く多くの方々に知っていただきたく、2007年より開催しております。私は35年近く、小児科医として小児がんの診断、治療に携わってきました関係から2016年より本イベントの実行委員長として参加させていただいております。
小児がんは、血液腫瘍と固形腫瘍とに大きく分類されます。50年以上前は、小児がんは、不治の病といわれ、亡くなる方が多かったです。それ以降、新しい抗がん剤の開発、造血幹細胞移植の発達、支持療法の発達、さらには、最近では、細胞療法の開発などで、治療成績の改善がみられています。このように治療法の進歩により、治療終了後、多くの患児の方々が長期生存できるようになりましたが、新たにさまざまな課題が生じてきています。長期入院を必要とした治療の終了後、患児達の学校への復学、進学、就職、妊孕性などの課題が出てきています。
本イベントに参加して治療が終了した患者さんとの関係の中で、さまざまな悩みを聞くことが出来ました。このようなさまざま課題に対して小児がんを支援していただける皆様と理解を共有したいと考えています。現在、まだ、収束の兆しのみえない新型コロナウイルスの環境下で、小児がんと闘う子ども達やそのご家族の方々は、感染への不安を持ち、私達以上に精神的、経済的負担が増えています。このような状況下でゴールドリボンウオーキングが掲げる「小児がんという病気そのものに対する理解を深める」というテーマの重要性は、さらに高まっていると感じます。今年は、小児がんの子ども達、ご家族達、医療者達と皆様と一緒に、オンラインでつながり、それぞれの場所から小児がんの子ども達やその家族の皆様にエールを届けたいと考えています。
ゴールドリボンウオーキング実行委員会
実行委員長 陳 基明
日本大学医学部卒業
日本大学医学部附属板橋病院小児科 科長
現在、さくら耳鼻科小児科医院 副院長